エアコンから嫌な臭いがしたり、効きが悪かったりすると、プロのエアコンクリーニングを頼みたくなりますよね。しかし、賃貸物件に住んでいる場合、「大家さんに勝手に頼んでいいのかな?」「費用は誰が払うんだろう?」と悩んでしまう方は多いのではないでしょうか。結論から言うと、賃貸エアコンのクリーニング費用は、原則として大家さん(貸主)が負担します。 ただし、そのためには「賃貸借契約書」を確認したり、大家さんに確認したりといくつか注意事項があります。
この記事では、誰が費用を負担するのかという疑問から、大家さんへの確認方法、トラブルを避けるためのポイントまで解説していきます。
【最初のステップ】賃貸のエアコンクリーニング、誰に言えばいい?大家さん?管理会社?

エアコンの汚れが気になったとき、いきなり大家さんに電話するのは少し緊張しますよね。実は、多くの場合、最初に連絡すべき相手は大家さんではありません。まずは落ち着いて、あなたの住んでいる物件の管理状況を確認することから始めましょう。
基本的にはまず管理会社に連絡するのがスムーズ
ほとんどの賃貸物件には、日々の管理業務を行う「管理会社」が存在します。家賃の支払いや更新手続きなどで、あなたもやり取りしたことがあるかもしれません。エアコンの不具合やクリーニングの相談も、まずはこの管理会社に連絡するのが最もスムーズな方法です。管理会社は、大家さんとの間に入って、必要な手続きや連絡を代行してくれます。多くの場合、提携しているクリーニング業者がいるため、話が早く進むでしょう。まずは契約書や、マンションの掲示板などに記載されている管理会社の連絡先を確認してみてください。いきなり自分で業者を探して依頼するのではなく、まずは管理会社に一本連絡を入れる、と覚えておきましょう。
大家さんに直接連絡した方が良いケースとは?
物件によっては、管理会社を介さずに大家さん自身が直接管理している場合があります。アパートや一軒家などで、大家さんが近くに住んでいるケースがこれにあたります。この場合は、もちろん大家さんに直接相談することになります。家賃を手渡しで支払っている、何かあったら大家さんの携帯に直接連絡する、といった関係性であれば、直接管理の可能性が高いでしょう。どちらに連絡すれば良いか分からない場合は、賃貸契約を結んだ不動産会社に問い合わせてみるのも一つの手です。「エアコンのクリーニングについて相談したいのですが、連絡先は管理会社と大家さんのどちらになりますか?」と聞けば、教えてくれるはずです。焦らず、正しい相手に相談することがトラブル回避の第一歩です。
連絡する前に確認すべきこと(賃貸借契約書)

大家さんや管理会社に連絡する前に、一度手元にある「賃貸借契約書」を確認してみましょう。契約書の中には、「設備(エアコンなど)の修繕や維持管理に関する取り決め」が書かれている項目があるはずです。ここに「エアコンクリーニングの費用は借主負担とする」といった特約が記載されている場合、残念ながら費用は自己負担になる可能性が高いです。このような特約も、契約である以上は有効とされてしまいます。逆に、特に記載がなければ、原則通り大家さん負担で交渉できる可能性が高まります。連絡する前に契約書の内容を把握しておくことで、その後の話し合いを有利に進めることができます。面倒に感じるかもしれませんが、後々のトラブルを防ぐために非常に重要なステップです。
【結論】エアコンクリーニングの費用は貸主?借主?負担の原則を解説

さて、最も気になる費用の負担についてです。法律では、誰が費用を払うべきか、基本的な考え方が決まっています。原則を知っておけば、あなたが支払うべきか、大家さんに頼めるのかが明確になり、安心して交渉に臨むことができます。
【原則は貸主負担】経年劣化や通常使用による汚れの場合
民法では、「大家さんは、住人が問題なく生活できるよう、必要な修繕をする義務がある」と定められています。エアコンは部屋の重要な設備ですから、その機能を維持するためのクリーニングは、この「修繕」に含まれると考えるのが一般的です。普通に生活していて自然にたまっていくホコリや、内部で発生するカビなどが原因で、エアコンの効きが悪くなったり、臭いが発生したりした場合、それは「経年劣化」や「通常使用による汚れ」と見なされます。
この場合、クリーニング費用は原則として大家さん(貸主)が負担すべき、ということになります。あなたに何の落ち度もないのに、エアコンの調子が悪いのであれば、堂々と大家さんや管理会社に相談して大丈夫です。
【借主負担になるケースも】善管注意義務違反とは?(タバコのヤニ汚れ・ペットの毛など)
ただし、例外もあります。住人には「善良な管理者としての注意義務(善管注意義務)」というものがあり、これは「借りたものを常識の範囲で、きちんと注意して使いましょうね」という意味です。もし、エアコンの汚れの原因があなたの使い方にある場合は、自己負担を求められる可能性があります。
代表的な例が、室内で吸うタバコのヤニ汚れです。ヤニは非常に頑固な汚れで、通常のクリーニングでは落ちにくく、特別な作業が必要になるため、通常の使用範囲を超えていると判断されます。また、ペットの毛や臭いが原因でエアコンが故障したり、ひどく汚れたりした場合も同様です。さらに、フィルターの掃除を何年も怠った結果、内部にホコリが詰まって故障した場合なども、注意義務を怠ったと見なされる可能性があります。
入居時にエアコンが新品だった場合の注意点
あなたが入居したときに、エアコンが新品で設置された場合は少し注意が必要です。例えば、入居して1年程度しか経っていないのに、カビや臭いがひどいという場合、「本当に通常の使用でそこまで汚れるのか?」と疑問に思われる可能性があります。この場合、あなたの使い方が原因ではないか(例えば、フィルター掃除を全くしていなかったなど)と疑われ、費用負担の交渉が難航するケースも考えられます。もちろん、設置から1年でも、夏に毎日使っていれば内部が汚れるのは自然なことです。
しかし、新品だったという事実は、大家さん側の「まだ新しいはずなのに」という主張の根拠になり得ます。もし新品のエアコンでクリーニングを依頼する場合は、普段からフィルター掃除はこまめに行っていることなどを伝えられると、交渉がスムーズに進むかもしれません。
大家さん・管理会社に確認する際の伝え方と交渉のポイント
費用負担の原則が分かったら、次はいよいよ大家さんや管理会社に連絡します。伝え方一つで相手の印象は大きく変わります。感情的にならず、要点をまとめて丁寧に伝えることが、スムーズに交渉を進めるための最大のポイントです。
【例文あり】電話やメールでの具体的な伝え方
連絡する際は、感情的にならず、状況を具体的に伝えることが大切です。例えば、電話であれば「お世話になっております。〇〇号室の〇〇と申します。エアコンの件でご相談があり、ご連絡いたしました。最近、冷房をつけるとカビ臭い匂いがしてきておりまして、内部を確認したところ、黒い汚れが見える状態です。一度、専門の業者によるクリーニングをご検討いただけないでしょうか?」のように、冷静に事実を伝えましょう。メールの場合も同様に、件名を「【ご相談】〇〇号室 エアコンのクリーニングについて」などと分かりやすくし、本文で状況を詳しく説明します。写真を撮っておき、メールに添付すると、汚れの状況が伝わりやすく、より説得力が増すのでおすすめです。
費用を負担してもらいやすくなる交渉のコツ
ただ「掃除してください」と要求するのではなく、相手のメリットも考えてあげると交渉はうまくいきやすくなります。例えば、「このまま放置すると、カビが原因で健康にも良くないですし、エアコンの効きも悪く電気代も余計にかかってしまいます。早めにクリーニングすることで、設備の寿命も延びると思います」といった伝え方をしてみましょう。これは、あなたのためだけでなく、大家さんの大切な資産である「設備」を守るための提案でもある、という姿勢を見せることが重要です。また、「もし費用を負担していただけるようでしたら、業者の手配はこちらで行うことも可能です」のように、相手の手間を減らす提案をするのも良いでしょう。相手の立場を思いやる一言が、交渉を円滑に進めるカギとなります。
もし費用負担を断られてしまった場合の対処法
交渉しても、大家さんや管理会社に費用負担を断られてしまうケースも残念ながらあります。賃貸借契約書に「クリーニングは借主負担」という特約がある場合は、それに従うしかありません。しかし、そうした特約がないにも関わらず断られた場合は、どうすれば良いでしょうか。
まずは、もう一度「通常使用による設備の維持管理は、貸主様の義務ではないでしょうか?」と、民法の原則に基づいて冷静に伝えてみましょう。それでも難しい場合は、費用を自己負担でクリーニングするかどうかを検討することになります。その際、必ず「自己負担でクリーニングを行っても良いか」という許可は取っておきましょう。勝手に依頼すると、万が一の故障時に責任問題に発展する可能性があるからです。
ちょっと待って!大家さんに無断で頼むと起こる3つの悲劇

「交渉が面倒だから、黙って自分で業者を呼んでしまおう」と考える人もいるかもしれません。しかし、その行動はいくつかの大きなリスクを伴います。良かれと思ってやったことが、後で大きなトラブルに発展してしまう可能性もあるのです。
リスク1:費用の自己負担
大家さんや管理会社に何の相談もなく、あなたが勝手にクリーニング業者に依頼した場合、その費用は当然、全額自己負担となります。本来であれば大家さんが負担してくれたはずの費用を、あなたが支払うことになってしまうのです。エアコンクリーニングの料金は、1台あたり1万円前後かかるのが相場です。お掃除機能付きの機種であれば、さらに高額になります。本来払わなくてもよかったはずのお金を払うのは、非常にもったいないですよね。まずは相談するという一手間を惜しんだことで、大きな金銭的負担を背負うことになりかねません。面倒でも、必ず事前に相談の連絡を入れるようにしましょう。これはトラブルを避けるための鉄則です。
リスク2:故障時の責任問題と修理費用の発生
これが最も大きなリスクかもしれません。もし、あなたが依頼した業者の作業が原因でエアコンが故障してしまった場合、その責任は誰が取るのでしょうか?
大家さんからすれば、「許可なく勝手に業者を入れた結果、設備を壊された」ということになります。この場合、修理費用をあなたが全額負担するように求められる可能性が非常に高いです。クリーニング業者が保険に入っている場合もありますが、大家さんとの間の話がこじれてしまうと、非常に面倒な事態になります。最悪の場合、エアコン本体の交換費用として、数十万円を請求されるケースも考えられます。自分の判断で行動した結果、高額な修理費用まで負担することになっては、元も子もありません。
リスク3:大家さん・管理会社との信頼関係の悪化
賃貸物件での生活は、大家さんや管理会社との信頼関係の上に成り立っています。報告・連絡・相談をせずに勝手な行動を取ることは、この信頼関係を損なう行為と見なされても仕方がありません。「この入居者は、ルールを守れない人だ」という印象を与えてしまうと、今後の契約更新を断られたり、他のトラブルが起きた際に厳しい対応をされたりする可能性も出てきます。エアコンクリーニングに限らず、部屋の設備に関して何かを行う場合は、必ず事前に相談するという習慣をつけておくことが、快適な賃貸生活を送るための秘訣です。良好な関係を維持するためにも、独断での行動は絶対に避けるべきです。
【費用を抑えたい人向け】自分でできるエアコン掃除の限界と注意点

プロに頼むと費用がかかるし、交渉も少し面倒…。そう考えて、自分で掃除を試みようとする方もいるでしょう。もちろん、自分でできる範囲の掃除は大切ですが、そこには限界と注意点があります。正しい知識を持たないまま掃除をすると、かえって状況を悪化させることもあるのです。ここでは自分で「やっていい事」「ダメな事」を解説します。
自分で掃除できる範囲はフィルターと外側だけ
基本的に、専門知識のないあなたが安全に掃除できるのは、「フィルター」と「エアコンの表面(カバー)」の2点のみです。フィルターは、多くの機種で簡単に取り外せるようになっています。月に1〜2回程度、フィルターを取り外して掃除機でホコリを吸い取り、汚れがひどい場合は水洗いしてよく乾かしてから戻しましょう。これだけでも、エアコンの効きが良くなり、電気代の節約につながります。また、エアコンのカバーや吹き出し口の見える範囲を、固く絞った雑巾で拭くのも良いでしょう。
しかし、エアコンの内部、特に電気部品が集まっている部分や、熱交換器(アルミフィン)の奥深くは、絶対に自分で触ってはいけません。故障や感電の原因となり、非常に危険です。
市販のエアコン洗浄スプレーをおすすめしない理由
薬局やホームセンターでよく見かける、エアコン内部を洗浄するためのスプレー。手軽に見えますが、プロの視点からは使用をおすすめしていません。
これらのスプレーは、汚れを完全に洗い流すことが難しいからです。中途半端に浮かせた汚れや洗剤成分が内部に残り、それが新たなカビや雑菌のエサとなって、以前よりもひどい悪臭を放つ原因になることがよくあります。また、洗浄液が電気部品にかかってしまい、ショートして火災につながったり、エアコンが故障したりするリスクもゼロではありません。メーカーも、市販の洗浄スプレーの使用を推奨していない場合がほとんどです。
手軽さの裏にあるリスクを考えると、内部の洗浄はプロに任せるのが最も安全で確実な方法と言えます。
プロに頼むべきカビや臭いのサイン
フィルターを掃除しても、エアコンから出てくる風がカビ臭かったり、酸っぱいような臭いがしたりする場合は、内部の奥深くにカビが繁殖しているサインです。また、吹き出し口から中を覗き込んだ時に、黒い点々とした汚れ(カビ)が見える場合も、プロによる分解洗浄が必要な状態です。これらのカビを放置したままエアコンを使い続けると、カビの胞子を部屋中にまき散らすことになり、アレルギーや喘息など、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、小さなお子さんや高齢の方がいるご家庭では注意が必要です。
自分で掃除できる範囲を超えた汚れや臭いを感じたら、それはもうプロに頼むべきタイミングです。健康を守るためにも、早めに大家さんや管理会社に相談しましょう。
まとめ:賃貸のエアコンクリーニングは、まず大家さん・管理会社へ相談を!

この記事では、賃貸物件のエアコンクリーニングについて、費用負担の問題から具体的な相談方法、注意点までを詳しく解説しました。最後に、重要なポイントをもう一度おさらいしましょう。
- 費用は原則「大家さん負担」:普通に使っていて汚れたエアコンのクリーニング費用は、基本的に大家さんが負担します。ただし、タバコのヤニやペットの毛などが原因の場合は、自己負担になる可能性があるので注意が必要です。
- 連絡はまず「管理会社」へ:いきなり大家さんに連絡するのではなく、まずは管理会社に相談するのがスムーズです。連絡先が分からない場合は、賃貸借契約書を確認しましょう。
- 勝手な依頼は絶対にNG:大家さんに無断で業者に依頼すると、費用が全額自己負担になるだけでなく、故障時に高額な修理費用を請求されるリスクがあります。必ず事前に許可を取りましょう。
- 自分でできる掃除には限界がある:自分で安全に掃除できるのはフィルターと外側のカバーだけです。内部の臭いやカビが気になる場合は、無理せずプロに任せるのが一番です。
エアコンの汚れや臭いは、放置しても良いことは一つもありません。快適で健康的な生活を送るためにも、この記事を参考にして、まずは大家さんや管理会社に勇気を出して相談してみてくださいね。

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